1月26日夜、日本武道館公演2日目を終えたばかりの楽屋を突撃。前回は主に出演者やビジュアルに関わる関係者に話を聞いたが、今回はサウンドに関する話をサカナクションのレコーディングエンジニアであり、ライブではマニュピレートを務めるサウンドプロデューサー的な存在である、浦本雅史氏にインタビューを行った。
―有観客のライブをここまで大規模に生配信するのは初めての試みかと思います。いわゆるリアルのライブとオンラインのライブのハイブリットになりますが、レコーディング、そしてライブではマニピュレーターとして長年サカナクションと共にいる浦本さんからみて、どういったものになりそうでしょうか?
浦本「いわゆるオンラインライブでは、配信用の音として、サニーさん(PAの佐々木幸生氏)にミックスしてもらっていました。今回は有観客のライブを生配信するので、サニーさんのミックスは会場に対してのミックスになりますが、配信先の人が聞いていることも意識しながらやってもらおうと思っています。」
―サニーさんが作ったミックスを浦本さんが受けて、配信用に送り出される。サニーさんと浦本さんの2枚のフィルターを通ったものが配信先には届くと。
浦本「そうですね。いま考えているのは、武道館なのでお客さんもたくさん入りますし、配信を観てくれている人も、ちゃんとその時間を共有しているということを意識してほしいと思っています。その為に、武道館のお客さんがいるところにオーディエンスマイクを立て、その空気感を拾ったものを、武道館にいるように3Dで配置しようと思っています。そこにバンドの音を混ぜていくということを考えています。」
―バーチャル3D的な配信になる?
浦本「はい。それに近い考え方をしてると思います。ただ2日間、本番日にそれを作りこんでいくので、やってみて、どうなるか。実験的な要素も含んでいたりします。」
―29日と30日でその違いがあったりしそうですね。
浦本「はい。2日間観る方はその辺りも楽しんでもらえたらと思います。」
―サウンドのお話は一通り伺いましたが、ちなみに映像について、田中監督が映像的にどういうアレンジをするかは伺っていますか?
浦本「いえ。笑 楽しみにしてます。オンラインとリアルライブは、オープニングがやっぱり一番違いますよね。1時間ずっと待ってる時間があって、暗転して、ライブが始まる。オンラインは主観で始まる。ライブは俯瞰。音もそことリンクした方が良いか。という点は田中監督と確認しました。全体がどうなるかは、楽しみにしています。」
―どんな点が楽しみですか?
浦本「アダプト ONLINEの配信された映像はもちろん最高でした。実際に生の場所の雰囲気がすごいよかったので、それがちゃんと武道館でのライブで表現されてたら良いなと思います。田中監督の表現がすごくかっこいいので、そこに注目しています。」
―アダプトONLINEの映像の感動が、今度はリアルライブと融合する形で出たら良いですよね。今回の生配信は「アプライへ」という要素があるとも聞きました。アダプトの次作である、アプライってどうなると思いますか?
浦本「正直、どうなるかはまだわかりません。いっくんはいつも面白いことを提示してくれるから、それは楽しみにしてます。」